メールで相談 LINEで相談
暗闇でキーボードを打つ手

SNSで名誉毀損にあたるケース|被害への対応と証拠確保の方法とは

概要 / overview
SNSを利用していると、心ない言葉や事実無根の投稿に傷つけられることがあります。
なかには、明らかに根拠のない噂や悪意あるコメントが拡散され、自分や家族の名誉が損なわれてしまうケースもあります。
事実、SNSを利用しているなかで「この投稿は名誉毀損ではないか」「名誉毀損にどう対処すればいいのか」と不安を感じている人も多いでしょう。
SNSは拡散力が高いため、名誉毀損に当たる投稿を放置してしまえば、誤解が広がったり社会的評価が下がったりする危険性があるため、早急な対応が必要です。
この記事では、SNSでの投稿が名誉毀損に当たるかの判断基準や、被害を受けたときに取るべき具体的な対処法、法的措置の流れまでを詳しく解説します。
被害に悩む人が一歩前に進むための指針となれば幸いです。
目次

SNSの投稿も名誉毀損の対象になる

暗闇でスマホ操作

XやInstagramなどでの発言であっても、内容によっては「名誉毀損」に当たる可能性があります。
名誉毀損とは、刑法第230条第1項で「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」を処罰する犯罪として定められています。
これは、不特定多数の人が目にする場で、具体的な事実を挙げて他人を貶め、その人の社会的評価を下げる行為のことを指します。
SNSは公開範囲が広く、拡散力も高いため、発言内容によっては名誉毀損が成立しやすい環境だといえるでしょう。
ただし、すべての誹謗中傷が名誉毀損に当たるわけではありません。
ここでは、名誉毀損かを法的に判断する際のポイントを2つ解説します。

名誉毀損に該当する2つのポイント

名誉毀損が成立するかどうかは、次の2点が大きな判断基準となります。

  • 公然性:不特定または多数の人が閲覧できる状況であること
  • 事実の摘示:単なる悪口ではなく、具体的な事実を示していること

まず「公然性」とは、発言が限られた仲間内だけでなく、不特定多数の人に伝わる可能性がある状況を指します。
例えば、鍵付きの非公開アカウントでごく少数の友人だけに見える投稿であれば、名誉毀損に当たらない可能性が高いです。
しかし、公開アカウントやリツイート・シェアによって広く拡散できる状態であれば、公然性は認められると考えられます。
次に「事実の摘示」ですが、これは単なる悪口などではなく、客観的に受け止められる事実を示しているかという基準です。
例えば、「○○さんは会社の金を横領している」といった投稿は事実の摘示に当たり、相手の社会的評価を下げる可能性が高いため、名誉毀損が成立します。
一方で、「○○はバカだ」「かっこつけすぎ」といった抽象的な悪口は事実の摘示に当たらず、名誉毀損ではなく侮辱罪の範疇になる場合があります。
このように、名誉毀損が成立するかは「どこまで広く伝わる状態か」と「具体的な事実を伴っているか」という2点が重要です。

誹謗中傷と批判・侮辱の違い

名誉毀損と混同されやすい「批判」や「侮辱」は、法律上は明確に区別されています。
それぞれの違いは次のとおりです。

  • 名誉毀損:具体的な事実を示し、その人の社会的評価を下げる行為
  • 侮辱:事実を示さなくても、公然と相手を貶める抽象的な悪口や表現
  • 批判:社会的・公共的な事柄に対して意見や評価を述べる行為(違法ではない)

相手への侮辱行為は、刑法231条の侮辱罪に当たる犯罪です。

例えば、「○○はバカだ」という投稿は事実の指摘ではないため名誉毀損には当たりませんが、侮辱罪に該当する可能性があります。
なお、侮辱罪はかつて拘留や科料といった刑罰でした。
しかし、昨今のSNSにおける誹謗中傷問題の深刻化に伴い、2022年7月の法改正によって法定刑が「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」へと大幅に引き上げられました。
一方で「批判」は、意見や評価の表明であっても、社会的事実を摘示していない場合には処罰対象にはなりません。
具体的に言えば、「○○さんの発言には納得できない」といった表現は、あくまで批判の範疇にとどまります。

SNSで名誉毀損されたときの対処法

PCno前に落ち込む男性

SNSで名誉毀損の被害を受けた場合、感情的に反応するのではなく、冷静に対応を進めることが大切です。
基本的な流れは「証拠を残す → 投稿を削除させる → 投稿者を特定する → 必要に応じて法的措置を取る」という順序になります。
ここからは、それぞれの具体的な対応方法について解説します。

証拠を確保する

SNSで名誉毀損の被害を受けたときは、投稿の証拠を残すことが最優先です。
相手側に投稿を削除されてしまうと後から立証が難しくなるため、以下の対応を取り、早めに証拠を残しておきましょう。

  • 投稿やコメントのスクリーンショットを保存する
  • URL、投稿日時、相手のアカウント名を控えておく
  • ウェブ魚拓などの外部サービスを使って記録する

これらの記録は、削除依頼や裁判所での手続きの際に有力な証拠となります。

運営会社に削除依頼をする

次に、SNSの運営会社へ投稿の削除を依頼を出しましょう。
XやInstagramなど多くのSNSには、ガイドライン違反を報告できるフォームが用意されており、該当する投稿やコメントを通報して、削除を申請できます。
ただし、フォームからの報告に従うかは運営側の判断によるため、場合によっては削除申請に応じてもらえない可能性がある点は注意が必要です。
もし、運営側が削除に応じてくれない場合は、裁判所に「仮処分」を申し立てる方法が有効です。
仮処分が認められれば、裁判所から運営会社に削除命令が出され、強制的に投稿を取り下げられます。

発信者の特定を行う

名誉毀損の被害に対して、投稿者に法的責任を追及したい場合には「発信者の特定」が必要です。
匿名アカウントであっても、適切な手続きを踏めば加害者を突き止められる可能性があります。
発信者特定の基本的な流れは次のとおりです。

  • SNS運営会社(コンテンツプロバイダ)に対して開示請求を行う
  • 開示されたIPアドレスから契約先のインターネット接続事業者(アクセスプロバイダ)を特定する
  • アクセスプロバイダに対して、投稿者の氏名や住所といった情報の開示を求める

ただし、SNS運営会社に対する開示請求は任意の対応に過ぎず、実際に応じてもらえるケースは限られています。
そのため、最終的には裁判所を通した正式な開示手続きが必要となることが多いのが現実です。
なお、従来はSNS運営会社とプロバイダの双方に対して二段階の裁判を行う必要がありましたが、2022年の法改正により、両者を一度に請求できる制度が導入されています。
これにより、従来よりも迅速な加害者特定が可能となりました。

プロバイダ側に法的措置を行う

アクセスプロバイダが任意の開示請求に応じない場合、最終手段として「発信者情報開示請求訴訟」を提起する必要があります。
これは裁判を通じて、プロバイダに対し投稿者の氏名や住所などの情報を開示させる手続きです。
訴訟を行う際に重要となるのは次の2点です。

  • 権利侵害の明白性:投稿によって名誉が侵害されている事実が客観的に確認できること
  • 正当な理由の存在:なぜ発信者の個人情報が必要なのかを具体的に説明できること

裁判所は、これらの要件を満たしているかを判断したうえで、プロバイダに対して開示命令を出します。
名誉毀損の事実を証明して事由を説明するためにも、証拠の保存や事実関係の整理は極めて重要です。

SNSで名誉毀損されたときに法的責任を取らせるには?

暗闇でスマホを眺める女性

SNSで名誉毀損の被害を受けた場合、削除依頼や発信者特定だけでなく、刑事告訴または民事訴訟によって法的責任を追及できます。
ただし、刑事と民事では手続きや目的が異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで選択することが重要です。
ここからは、刑事告訴と民事訴訟の流れとポイントについて解説します。
なお、被害の状況などによっては、刑事告訴と民事訴訟の両方で法的責任を追及できます。

刑事告訴する

SNSでの名誉毀損に対して法的責任を追及する方法のひとつが、加害者を刑事告訴することです。
刑事告訴を行うと、加害者は警察や検察による捜査の対象となり、最終的に罰金刑や懲役刑などの刑事処分を受ける可能性があります。
ただし、名誉毀損罪や侮辱罪は「親告罪」とされており、被害者が告訴をしなければ刑事事件として扱われません。
また、告訴できる期間は、原則として加害者を知った日から6ヵ月以内と定められているため、被害を受けた際には早めに行動を起こすことが重要です。
刑事告訴は加害者に刑罰という社会的制裁を与えることができますが、被害者が直接的な金銭的補償を受けられるわけではありません。
金銭的な救済を求めたい場合は、次に解説する民事訴訟を検討する必要があります。

民事訴訟を起こす

SNSでの名誉毀損に対して金銭的な補償を求めたい場合は、民事訴訟を通じて損害賠償請求を行います。
民事訴訟は名誉を傷つけられたことによる精神的苦痛に対し、慰謝料を請求できるのが大きな特徴です。
民事訴訟は刑事告訴とは異なり、親告罪のような制限はありません。
そのため、刑事事件として立件されなかった場合でも、民事上の責任を追及できる可能性があります。
例えば「名誉毀損罪」としては成立しない表現であっても、社会的評価を不当に下げたと認められれば損害賠償が認められるケースもあります。

SNSの発信が名誉毀損や侮辱罪と認められた事例

暗闇に謎の人物

SNS上での投稿は、気軽に発信できる一方で、思わぬ形で名誉毀損や侮辱罪に発展することがあります。
実際に過去には、著名人や一般人を対象とした投稿が問題となり、刑事処分や損害賠償に至ったケースも少なくありません。
ここからは、社会的に大きな影響を与えた3つの事例を取り上げ、どのような投稿が法的責任を問われたのかを見ていきましょう。

女子プロレスラーへの誹謗中傷事例

SNSにおける誹謗中傷が社会問題として大きく取り上げられたのが、女子プロレスラー木村花さんのケースです。
木村さんは出演していたテレビ番組をきっかけに、SNS上で容姿や言動を非難され、多数の誹謗中傷を受けました。
その結果、精神的に追い込まれ、最終的に命を絶つという悲しい出来事に繋がってしまいました。
この件を受けて投稿者の一部は侮辱罪で立件され、実際に刑事処分が下されました。
また、この事件を契機に侮辱罪の法定刑が引き上げられ、社会全体で誹謗中傷に対する厳罰化が進むきっかけにもなっています。
SNS上の軽率な発言が、取り返しのつかない結果を招くことを示した事例といえるでしょう。

女優への殺害予告事例

女優・春名風花さんの事例では、SNS上で「爆破予告」や「殺害予告」といった投稿が繰り返されました。
さらに「彼女の両親自体が失敗作」といった人格を否定する発言も行われ、社会的に大きな注目を集めました。
このケースでは、投稿者が刑事責任を問われただけでなく、最終的に315万5,000円の示談金を支払うことが成立しています。
脅迫や名誉毀損にあたる投稿は、被害者の精神的苦痛だけでなく、法的に多額の損害賠償につながる可能性があることを示す代表的な例です。
SNS上の「軽い冗談」のつもりでも、他者の尊厳や安全を脅かす発言は重大な結果を招きかねません。

芸人を殺人犯と中傷した事例

インターネット上での名誉毀損の一例として、ある芸人が殺人犯だとする虚偽の情報が拡散された事件があります。
「女子高生コンクリート詰め殺人事件の実行犯だ」というデマがSNSや掲示板で広まり、大きな社会問題となりました。
実際には事実無根であるにもかかわらず、拡散に関与した男女18人が名誉毀損容疑で一斉に検挙されています。
SNS上での発言は「冗談」や「面白半分」であっても、特定人物を犯罪者扱いする投稿が深刻な名誉侵害となり得えます。
虚偽の情報は相手の社会的評価を著しく損なうだけでなく、拡散した側も刑事責任を免れない点を理解しておくことが必要です。

SNSでの名誉毀損で頼るべき専門家とは

SNSで名誉毀損の被害を受けたとき、個人だけで解決するのは難しい場合が多いです。
証拠の整理や発信者特定、法的措置などは専門的な知識や経験を必要とするため、適切な専門家に相談することが解決への近道となります。
ここでは、SNSで名誉毀損の被害を受けた際に頼るべき専門家を紹介します。

弁護士に相談する

SNSでの名誉毀損被害において、もっとも頼りになる専門家が弁護士です。
弁護士に相談することで、相手の発言が名誉毀損に該当するかを専門的に評価し、取れる手段や今後の見通しについて具体的なアドバイスを受けられます。
また、次のような点においても、弁護士に相談するメリットは大きいです。

  • 名誉毀損以外の違法性はないか確認できる
  • 発信者情報開示請求など、複雑な手続きを代行してもらえる
  • 損害賠償請求の可能性や、訴訟で勝てる見込みを見極められる

弁護士は個人だけでは対応が難しい裁判所での手続きも、代理人として進めてくれるため安心です。
費用は発生しますが、法的な解決を推し進めてくれる強力な味方でもあるため、早めに相談することが望ましいでしょう。

探偵に依頼する

SNSでの名誉毀損被害では、発信者を特定することが難航するケースも少なくありません。
そのようなとき、独自の調査力を持つ探偵に依頼するのも有効な手段です。
探偵に依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 独自の情報網や専門調査を活用して加害者の特定を試みられる
  • 投稿削除や法的措置に必要な証拠を追加で収集できる
  • 時間が経過し、証拠の確保が難しくなったケースでも調査することができる

探偵は調査によって得られた情報を弁護士に引き継ぐことができ、発信者特定から訴訟までの流れをスムーズに進めやすくなります。
とくに、加害者が匿名性を高めている場合や、証拠が乏しい場合には心強い味方となるでしょう。

SNSでの名誉毀損は泣き寝入りせず対処しよう

案内するビジネスマン

SNSは便利な一方で、誹謗中傷や名誉毀損といった深刻なトラブルが起こりやすい場でもあります。
被害に遭った場合は感情的に反応してしまう前に、冷静に証拠を確保し、削除依頼や発信者特定などの適切な手段を講じることが大切です。
また、法的措置を検討する際には、弁護士や探偵といった専門家のサポートを受けることで、より確実かつ迅速に解決へ進められます。
名誉毀損の被害を受けたら、泣き寝入りせず行動することが自分自身を守る第一歩です。
早めの対応が、解決の近道となることを忘れないようにしましょう。

初回ご相談は無料

適正価格で、確かな調査を。

調査の目的やご要望に応じて、
無駄のない明朗な料金設定を心がけています。
初回のご相談・お見積もりは無料。
費用面にご不安のある方も安心してご相談ください。

現状把握調査
¥ 60,000
対応策の策定・実行
¥ 90,000
調査料金を詳しく見る